自宅で解析キットに唾液を入れて送るだけで、DNAを抽出して解析。自分がかかりやすい病気を知り、予防することができる……そんな遺伝子解析サービスを提供する「ジーンクエスト」は、高橋祥子さんが東京大学大学院在籍中に立ち上げたベンチャー企業だ。

京都大学農学部を卒業後、東京大学大学院へ進んだ高橋さんは、糖尿病など生活習慣病の予防メカニズムを遺伝子解析によって明らかにする研究に従事し、それがジーンクエストの遺伝子解析サービスにつながった。生命科学の博士号を持つ28歳、高橋祥子さんの夢とは? 田原総一朗氏との対談、完全版を掲載します。

医者の家系に育ったが、京大農学部へ

【田原】高橋さんはお父さんや親戚がお医者さんだそうですね。医者になろうとは思わなかったのですか。

【高橋】最初の選択肢は、医者になるか、医者にならないかの2択。姉は医者になったのですが、私はならない道を選びました。といっても、生命や医療に興味がなかったわけではありません。医者は人が病気になってから治療する仕事ですが、病気になる前に予防をするなど、もう少し幅広い視点で生命科学に携わる道もあるんじゃないかと考えて、農学部に行きました。

【田原】いつごろから、その進路を考えていたのですか。

【高橋】中学か、高校ぐらいですかねえ。

【田原】お父さんやお姉さんは、どんなお医者さんですか。

【高橋】勤務医で、2人とも外科系です。