さらに、ハスラーの肝となるのがボックス型のフォルムです。乗車時に快適さを感じられるだけの広さと、楽しさを生むための動きを出すことをデザインでは意識しました。具体的には、運転席と助手席の斜め前にある柱(Aピラー)を垂直に近づくように起こしています。その結果、限りなく真四角に近づけながらも、横から見たときに少しだけ形の傾いた四角形のフォルムが生まれました。またフォルムに合わせてバランスを取るために、サイドウインドウを少し下げています。
フォルム、色、ヘッドライト……ハスラーのデザインはすべてアウトドア好きの人たちに使っていただけるシーンを想定してつくったものです。実際、軽自動車をアウトドアユースに改良している人は、少なくありません。これらのアイデアを固めてデザインに落とし込む前には、想定ユーザーの調査も行いました。山でキャンプをしている人や海辺でサーフィンをしている人に車の使い方を見せていただいて、要望を伺ったりしました。なかでも車体の高い「腰高」を車に望む声が多かった。そのような肉声を反映し、荒れた路面も走破できる大きなタイヤを装備しました。
発売から1年で10万台以上を販売
2014年1月に発売。同年、累計販売台数10万台を突破。軽自動車の暦年での年間販売台数トップを8年振りにダイハツから奪還。日本流行色協会(JAFCA)主催の「オートカラーアウォード」グランプリ、「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」など多数受賞。
蒲原 充(デザイナー)
1970年、東京都生まれ。92年、スズキ入社。四輪デザイン部エクステリア課を経て、2013年より同部先行デザイン課に異動。ハスラーのほか、ラパン、セニアカー、ジムニー、ワゴンR、アルト、スズキLCなどのデザインを手がける。海外モデルではSX4に携わる。
1970年、東京都生まれ。92年、スズキ入社。四輪デザイン部エクステリア課を経て、2013年より同部先行デザイン課に異動。ハスラーのほか、ラパン、セニアカー、ジムニー、ワゴンR、アルト、スズキLCなどのデザインを手がける。海外モデルではSX4に携わる。
(構成=矢倉比呂 撮影=佐藤新也)