今やすっかり定着したセブンカフェ。成功の秘密は、コンビニのイメージを一新させたセブン-イレブン自社商品のブランディングにあった。
「うちの仕事をやってくれないか」
2013年1月、コンビニ発の本格コーヒーとして「セブンカフェ」はスタートしました。これは10年2月から手がけているセブン-イレブンのブランディングプロジェクトの一環として生まれたものです。
セブン-イレブンとの関わりは、09年に広報誌で鈴木敏文会長と対談したことに遡ります。話し始めて少し経ったところで、「うちの仕事をやってくれないか」と声をかけていただいたのがすべての始まりでした。
当時、セブン-イレブンはすでに業界トップ、しかもメディアではコンビニ飽和論が盛んに言われていたころ。半年以上にわたり経営陣と議論を重ね、自社開発商品の全面リニューアルに着手することになりました。
最初の1年は商品の整理からスタート。それまで販売されていた商品には「セブン&アイ・ホールディングス」「セブンプレミアム」など、バラバラのロゴが付いていました。たとえば、酒のつまみの「チーズ鱈」には、異なるロゴが付いて価格差のある2種類の商品があった。ダブりを減らしながら足りない商品を付け加えることで、ラインアップを整えていきました。
そのうえで、おにぎりやサンドイッチなどの毎日入れ替わる商品を「デイリー」、お菓子や雑貨などを「プレミアム」、ワンランク上の商品を「ゴールド」と定め、それぞれに分別。ロゴのデザインも一新しました。
この過程で最も驚いたのは、弁当やおにぎりにロゴが付いていなかったこと。会議の席で「どこで作っているんですか?」と何の気なしに聞いたら、「え? もちろん自社専用工場です」とのこと。僕はてっきり、別の専業の会社が作り、セブン-イレブンに卸しているものだと思っていた。せっかく味にこだわった商品を自社で開発しているのに、これでは消費者に伝わらない。すべての自社商品にロゴを付けることを決めました。