絶好調! 日本一Vサインが似合う男

──2005年にAクラス(3位)になって以来、連続最下位5回を含む万年Bクラスのお荷物球団・横浜DeNAベイスターズが、奇跡の快進撃を続けている。その勢いは、1998年の優勝にも勝るもので、15年6月2日現在、セ・リーグの首位を走っている。

そのベイスターズを率いるのが、自身の現役時代、「絶好調」が口グセで、「ヤッターマン」のニックネームを持った元祖お祭り男「キヨシ」こと、中畑清だ。名将・野村克也が用いた「ID野球」に代表されるようなデータ野球が、現代では隆盛を極めている。そんな時代には、思慮深く計算高いリーダーでないとペナントレースを勝ち抜くのは厳しいというのが常識だった。

横浜DeNAベイスターズ監督 中畑 清

しかし、である。

横浜DeNAを率いて4年目の中畑清監督は違う。軽快で陽気なオーラを全身から発散している。日本一Vサインが似合う60代だ。明るいキャラクターでチームをぐいぐいと引っ張る。プレジデント誌は、中畑清監督に直撃し、絶好調の理由を聞いた。

【中畑】いわゆる名将といわれるような監督と私のイメージは、かけ離れている。常識破りの行動が、選手やファンやマスコミに受け入れられるかどうか。4年間、トライしてきた。せっかく監督をやらせてもらうんだから、私にしかできない世界をつくりたかった。

具体的には、「監督」という職業にありがちな選手との距離感を詰めることを一番に考えた。堅い雰囲気を払拭したい。プロは実力主義のシビアな世界だけれど、チームは家族でもある。その柱になりたかった。

今、生え抜きの若手が活躍しているって言われるけど、就任時(12年)のチームは、明らかな戦力不足。ベイスターズには若手育成しか活路がない。最初の奄美大島の秋季キャンプで、私は選手たちをシゴキにシゴいた。それは、うまくなるためでもあり、距離を縮めるためでもあった。