ベイスターズはずっと弱かったし、球団年俸合計も12球団中最下位だった。それを強くするのは大変なことだけど、核になるキーワードを見つけた。
「諦めない」ということ。
諦めないスピリッツを養うこと。
たとえ0対10で負けていても、「絶対に引っ繰り返してやる」と、チーム全員が自然と思えること。相手がうんざりするほど喰らいついていくのだ。そんな諦めない姿勢だけは、猛練習でつくれるはずだ。もちろん成果はすぐには表れなかった。就任当時は、当たり前のように負けた。本当に100敗してもおかしくないチームだった。
たしかに今年は優勝を目指すと公言し、4月、5月は逆転勝ちも多くて、いい試合が多かった。しかし、まだ開花とはいえない。勝負事だから、すぐ壊れる危険性だってある。連敗が止まらなくなって最下位になる可能性もないわけではない。
絶好調とマスコミは取り上げてくれたけど、ここまでは経過にすぎない。優勝して、初めて喜びを分かち合いたい。選手には、「優勝して年俸1億円プレーヤーになったら、その半分、私によこせ!」と迫ると宣言した(笑)。
大学駅伝の名将・大八木弘明監督(駒澤大)は大学の後輩で、たまに飲む。違うスポーツだけど、選手育成で共通する部分があった。
同じことを伝えるにも、選手によって言葉を変えること。人間は十人十色。全員にそれぞれの個性があるでしょう。声のかけ方が違って当たり前。語尾をちょっと優しくしたり。そういう配慮は監督の義務だ。私は選手と1対1のコミュニケーションを取るようにしている。