円安、原材料費高、人手不足、消費税アップ……、値上げは不可避だが、できずに苦しんでいる企業も多い。
1回のセミナー受講料は100万円を超えるというカリスママーケッターが講義をプレジデント誌に大公開! 値上げの極意を語ってくれた。

Q. 離れたお客様を取り戻す方法はありませんか?

外食チェーンを展開しています。2014年4月から消費税分の値上げを行いました。値上げ当初は前年比と変わらない売り上げを維持していましたが、最近になって客足が遠のいている感触があります。かといって元の値段に戻すこともできません。離れた顧客を取り戻す方法はありませんか。(外食業)
ジェイ・エイブラハム氏

外食に限らず、さまざまな業態でコモディティ化が起きています。似たり寄ったりのサービスを提供し、顧客もそれを当然のこととして受け取っているということです。それだけに差別化が重要になります。正しい起業家精神を持つ者であれば、その企業が業界の中で埋もれてしまうことはないでしょう。唯一無二の体験や価値、すばらしいサービスをお客様に提供することによって、他社との差別化が行えるのです。

ピーター・ドラッカーも中小企業において、まったく異なる2つのタイプがあることを指摘しています。一つは現状に満足しているタイプ、もう一つは、非常に限られた数ですが、起業家精神を持つタイプです。

わかりやすく牛丼屋さんを主役にして話をしましょう。牛丼屋さんはなぜそのビジネスを始めたのか。恐らく、単純なビジネスとして、つまり収益を上げたいという意図を持ってのことでしょう。そうなりますと、実際にお店に行ったお客様はどのようになるか。

普通の看板があって、普通にある程度清潔な店内があって、店員の態度も普通。テーブルについたら、テーブルも普通にきれいです。そして普通の肉と米が丼で出てきて、10分もたったら、何事もなく店の外へ出ていく。それではダメなのです。あなたが提供するサービスはほかの誰であっても代替可能になってしまいます。