「ウマいしゃべり」を目指さない

<strong>お笑い芸人 渡部 建</strong>●1972年、東京都生まれ。緻密で完成度の高いコントに定評がある、お笑いコンビ「アンジャッシュ」のツッコミ担当。
お笑い芸人 渡部 建●1972年、東京都生まれ。緻密で完成度の高いコントに定評がある、お笑いコンビ「アンジャッシュ」のツッコミ担当。

おしゃべりで場を盛り上げるのは無理です。「ウマいしゃべり」はプロの芸人が何十年かかってもなかなか体得できません。仲間内ならよくても、知らない人が入ると場の空気が変わりますよね。だから、あきらめたほうがいい。

うまく話そうと思わないほうがいいんです。最初の挨拶でも「慣れていないのですごく緊張してます」「何か気のきいたことを言いたくて徹夜でインターネットで調べてきました」なんてバラしてしまえば、場のハードルを下げることができます。スベったときの保険にもなりますよ。一生懸命に準備してきたのにこのザマ。すごく愛嬌がありますよね。

失敗談や弱点というのは、場を和ませるために有効なんです。他人との壁を取り払って警戒心を解くことができます。逆に、弱点を隠して上手い挨拶をしようとすると、場のハードルを上げてしまう。身の丈以上を目指さないことです。

ただし、オドオドモジモジするのはやめたほうがいいですね。痛々しくなるから。小さな声も人をイライラさせます。大きな声でゆっくり話しましょう。

実は、僕も人見知りで人前が苦手なんですよ。自信がない。場にのみ込まれてしまいそうになる。だからこそ、「堂々としよう」と決めています。「スカイダイビングのロケよりはマシだ。スベっても死ぬわけじゃない」と自分に言い聞かせているんです。