「断る力」を連発。そのときどうする
私の尊敬する勝間和代さんはベストセラーを連発している。
勝間さんの生き方に共鳴し、勝間本を読み、勝間さんみたいになりたいと思う人(以下、カツマー)は、40~50代に多い。本来自分を見直すべき若い時期にバブルを経験し、アイデンティティがないまま年を重ねたために、今そのツケを払わされている世代だ。
勝間さんには、大前研一の資産力や、武田久美子の美貌、和田秀樹の学歴など、ほかのベストセラー作家にあるような明確な存在根拠が見当たらない。本人の弁を借りれば「私の本は売れている」から「私はすごい」。そして「私はすごい」ので「本が売れる」のだ。
数十冊ある勝間和代さんの著作の基本構造を分析してみた。
出だしには必ず「情熱大陸」への出演エピソードと、自分の本が累計○万部に達したという自慢が入る。内容には起承転結がなく、すべてが走り書きのメモのような形式が続く。長文の読書が苦手な人にも優しいつくりだ。
内容は、まず「あなたはダメ」という否定が入り、次に「でも昔の私もダメだった」とし、「こうすれば大丈夫」と続く。そして、妬まない、怒らない、愚痴らない、という勝間式「三毒追放」「断る力」「年収600万円以上」の三本立てを提案され、「みなさん早く『勝間和代』になって」と締められる。
この「紋切り型の構成」「わかりやすさ」に、まるで大人気番組「水戸黄門」を観ているような安心感を読者は受けるだろう。情報がギュッと詰まっていないのも新鮮だ。私の著作も含め、多くの書籍は、内容を詰め込もうとしていることを反省すべきかもしれない。