花形部門の中にも競争はある

――企業の技術系社員には、大きく分けて工場に駐在し製造技術を担当する人と、研究・開発畑の人との2通りがいます。事務系ならば、営業マンと商品企画の違いといっていいでしょう。
<strong>日本学術振興会理事 小林 誠</strong>●1944年生まれ。高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授を兼務。2008年ノーベル物理学賞受賞。
日本学術振興会理事 小林 誠●1944年生まれ。高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授を兼務。2008年ノーベル物理学賞受賞。

一般に事務系の場合は、地道な営業よりも商品企画や経営企画、広報・宣伝など一見して華やかな部門を好み、新人に希望を聞くとそちらへ配属願いを出すことが多いといいます。

技術系の場合、そこまで露骨な人気の偏りはないと思いますが、基本的には縁の下の力持ちである製造技術畑から、商品開発や基礎技術を扱う華やかな研究・開発部門へ「異動したい」と考えている人は少なくないと思います。事実、企業によっては「製造から開発へ」というような部門横断的な人事を行っています。

いわゆる「花形部署」へ異動したい。そして、できれば小林先生のようにノーベル賞クラスの華々しい成果をあげてみたい――。そういう野心を持っている人に対して、先生はどんなアドバイスをなさいますか?

目の前に研究所など花形部門へ移るチャンスが開けている。それを生かすにはどうすればいいか、ということを考えてみましょう。

私自身のフィールド(理論物理学)は実用的なものとは一番遠いところにありますから、みなさんの直接の参考にはならないと思います。しかし「やりたいこと」を「やれること」に変えるためには何が必要なのかという点では、次のようにお答えすることができるでしょう。