社会主義が消え、堕落が始まった
詩人・作家 辻井 喬●1927年生まれ。東大卒。本名の堤清二として実業界で活躍。詩人・作家としても谷崎潤一郎賞ほか受賞多数。
2008年秋のリーマンショックに直面し、資本主義という制度が孕んでいる本質的な危うさに戦慄した人は多いと思う。危機によって明らかになったのは、投資銀行やヘッジファンドなど主要な担い手たちの底なしの堕落である。
彼らはなぜ堕落したのか。大きな理由は東西冷戦が終結し、社会主義陣営という資本主義への批判者が地球上からいなくなったことだ。どのようなシステムであれ、批判者や対抗者が存在しなくなったとたんに堕落は始まる。
僕が西武百貨店に入社したのは1954年だが、そのころの同社は赤字続きで経営体制は前近代の極みであった。僕はこの会社を近代企業に変えようと意気込んでいた。そのために入社の条件として親会社の西武鉄道に要求したのは、「学卒者を定期採用する」「労働組合をつくる」の2点であった。
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