ファミリーマート社長 中山 勇(なかやま・いさむ)
1957年生まれ。東京大学卒業。81年伊藤忠商事入社。油脂部長、常務執行役員などを経て2013年1月にファミリーマート社長就任。
コンビニ業界の再編が動き出した。ファミリーマートは、ユニーグループ・ホールディングスとの統合検討委員会を4月設置。主導するのはファミマの中山勇社長。ユニーは傘下にサークルKサンクスを抱える。統合が実現すれば、コンビニ店舗数で最大手セブン-イレブン・ジャパンと同規模に。国内最大級の店舗網を生かして仕入れ費用を減らし、浮いた資金をプライベートブランド商品などの開発に振り向けて、他社との競争に打ち勝つ戦略だ。
ファミマは以前、上田準二前社長(現会長)がサークルKサンクスに統合を打診したことがあった。ただ、このときはサークルK側の拒否で頓挫。その後、規模の小さいサークルKは店舗販売の低迷に苦しみ、総合スーパーのユニーと統合。それでも、コンビニ事業の抜本的な改善はできなかった。紆余曲折の末、ファミマと一緒に生きることになった格好だ。
中山氏はファミマの大株主・伊藤忠商事出身で、長らく食糧畑を歩んだ。海外経験が豊富で米国の会社に出向していたこともある。2013年に社長になる前は、アジアでファミマのパートナー企業選定に携わっていた。海外で磨いた交渉力には定評があり、一度は流れたサークルKとの統合交渉を再びテーブルに着くところまで持ってきた。
規模拡大への思いは強い。ユニーとは別に、中部地域を中心にコンビニを展開するココストアの買収交渉も表面化。一連の再編を成功させ、セブン-イレブンと互角の戦いに持ち込めるかどうかが注目点だ。
(入江 近=文 AFLO=写真)