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ホンダ次期社長 八郷隆弘(はちごう・たかひろ)
1959年生まれ。武蔵工業大学(現東京都市大学)卒。82年本田技研工業入社。中国生産統括責任者、常務執行役員、専務執行役員などを経て、2015年6月社長就任予定。


 

2月下旬、ホンダ社内外に衝撃が走った。伊東孝紳社長が突如退任、次期社長には常務執行役員の八郷隆弘氏が昇格する人事を発表。伊東社長は6年目に入り、既定路線では今年6月で“任期満了”を迎えるが、看板車種「フィット」やタカタ製エアバッグなど経営の屋台骨を揺るがす一連のリコール対応に追われて「道半ばでは辞められない」と“続投”を匂わせていた。年明け、赴任先の中国で後継指名の電話を受けた八郷氏が「予想もせずびっくりした」と明かしたのも無理はない。だが、伊東社長からは「飛躍の準備は整った。今までの経験を生かしてほしい」と口説かれ、快諾した。

八郷氏は駆け出し時代、伊東氏と同様の車体設計を中心に研究・開発畑を歩み「気心の知れた間柄」。サプライヤーから部品を調達する購買の本部長や鈴鹿製作所長、北米や欧州、中国と国際経験も豊富で、オールラウンドで“帝王学”も学ぶ。だが、ホンダ歴代社長の「登竜門」である本田技術研究所社長は未経験、しかも本社取締役でもなく、9人の上席役員を飛び越しての異例の大抜擢。

八郷氏は「2015年はホンダにとって花咲く年。チャレンジングな商品を生み出し、世界6極体制をしっかり進めるのが私の役割」と抱負を述べた。“秘蔵っ子”らしく、先輩がやり残した路線を継承する気配りも忘れないが、傷ついたブランドを再生するには持ち前のマネジメント能力で、鬱積した社員を奮い立たせてホンダらしさを取り戻せるような独自の戦略を打ち出すことが急務だ。

(写真=AFLO)
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