トヨタが国内最高燃費を実現!
世界の自動車業界では今、エンジンの熱効率を巡る戦いが過熱している。そのさなかの4月10日、トヨタ自動車が次世代エンジンに関してマスメディア向けの技術説明会を行った。
発表したのはいずれもコンパクトカー向けのもので、排気量1.3リットルの直列4気筒と、排気量1リットルの直列3気筒の2機種。うち1リットルは、14日発表のベーシックカー「パッソ」のマイナーチェンジを機に搭載され、JC08モード燃費は27.6km/リットルと、普通車の非ハイブリッド車のトップに踊り出た。
今回の新エンジンの熱効率は1.3リットルが38%と、ハイブリッド用を除く量産車用ガソリンエンジンとしては「世界トップレベル」(トヨタ関係者)、1リットルも37%に達しているという。従来型がどちらも35%前後であったことを考えれば、進歩の幅はかなり大きいと言える。この2つのエンジンを皮切りに、2016年までに14機種のエンジンを同様の高効率なものに置き換え、グローバルで3割のクルマに搭載する計画だ。
エンジンの熱効率とは、燃料を燃やして得られた熱をどれだけ運動エネルギーとして取り出せるかを表す数値だ。熱効率が高ければ同じパワーをより少ない燃料で出し、同じ量の燃料ならより大きなパワーを出すことができることを意味する。クルマの競争力を左右する重要な項目のひとつである。
昭和時代、その熱効率はせいぜい10%台であった。が、エンジン内部の摩擦によるパワーロスを減らしたり、ガソリンが燃え残らないよう燃焼状態を改善したりといった涙ぐましい努力によって、その値は年々上昇。とくにここ10年ほどの進歩は目ざましく、熱効率で30%を切るようなエンジンはほとんど見かけなくなった。
そして今日、世界の主要メーカーがガソリンエンジンの熱効率の当面の目標値として掲げているのが「40%」という数値だ。ディーゼルではとっくにクリアされている数字だが、ガソリン車の場合、普通のクルマのエンジンで30%台後半、ハイブリッド専用エンジンで38~39%といったところまで来ている。
トヨタの常務役員で長年ハイブリッドカーの開発に携わってきた小木曽聡氏は昨年夏、アメリカで「次期プリウスで熱効率40%を達成する」と表明。ホンダも負けておらず、本田技術研究所社長の山本芳春氏は昨年春の懇談で「量産車40%一番乗りは何としてもウチが取れとハッパをかけている」と語っていた。