アベノミクス効果はこれから始まる!
――西日本旅客鉄道(JR西日本)の2014年3月期の決算は営業収入1兆3310億円、営業利益1345億円、純利益656億円と過去最高の数字でした。
【真鍋】前期は中期経営計画の初年度でしたが、好調な滑り出しができたと思います。アベノミクスの影響もあったのでしょうが、想定していたよりいい収入状況でした。一方、電力(不足)問題もあったので、コスト面は厳しく見積もっていましたが、それほどでもありませんでした。そのように経済状況にも恵まれたと思います。
売上高にあたる営業収益の1兆3310億円という数字は中期計画の最終年度の目標が1兆3060億円ですから、1年目で達成したことになります。実は、もともと初年度から2年目では仕込みの年で、非常に厳しくなると想定し、そこから改革していくというシナリオだったので、少し慎重に計画数字を設定していたからです。
来年春には北陸新幹線の開業もあります。貸付料が決定していないこともあり、計画にはその影響は盛り込んでいません。貸付料が決着した段階で、1年目のギャップの修正と併せ、現在の中期計画の見直しをする必要があると考えています。
――アベノミクスはどのように評価していますか。
【真鍋】昨年は安倍政権の1年目でしたが、心理的な効果があったのかなと思います。実際にビジネスを中心とした旅行を含めた動きが、想定よりよかったと分析しています。
やはり日本経済はあまりにも停滞の時間が長かったので、ある意味で、先行きが開けるのではないかと国民の皆さんが感じたのではないでしょうか。そういうムードをつくったという意味では非常に大きかったのではないかと思います。
ただ、アベノミクスの実際の効果というのは、これからだと思います。規制緩和というだけではなかなか見えてこない部分が大きいですが、現実的な議論はこれからでてくるでしょう。日本経済、各業界でまだまだ成長の余地があるなと、感じられる政策を作り上げていくことが大事だと思います。もう少し、具体論が見えてくれば、景気回復に拍車がかかる可能性があると思います。
懸念していた消費増税ですが、6月末まで増税の影響が強くでるだろうと見ていましたが、5月のゴールデンウィークを見てみると、前半はよくなかったのですが、後半は前年比103%という状況で、まずまずでした。それ以降の動きを見ていても、消費増税の影響は薄れてきているのではないかとみています。