コンビニ業界が好調だ。セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートの大手3社ともに2011年3~11月期連結決算で過去最高益を計上した。主な要因は2つある。

1つは昨年3月の東日本大震災の影響だ。コンビニ業界は商品確保に奔走し、4月のセブン-イレブンを皮切りに各社とも3カ月ほどで品不足を解消。様々な品物を24時間買える“社会インフラ”としての存在感を示した。

もう1つは、新しい顧客層を獲得したこと。コンビニ各社は、数年前から生鮮食料品やPB(プライベートブランド)の拡充を進めていた。震災後、メーンの顧客ではなかった主婦や高齢者が、コンビニの品揃えを評価し、定着するようになったと考えられる。

まもなく震災から1年を迎えようとしているが、その反動はないのか。

コンビニ業界に限っては、それほどないと予測する。震災後、スーパー各社は商品価格を調整して利益を高めた。しかし、コンビニは定価販売が基本であるため、価格調整の「恩恵」がなかった。スーパーと比べると、コンビニへの影響ははるかに少ないだろう。

今後の成長のカギは、他の業態を意識した商品や店舗を開発することにある。実は、食品小売りというカテゴリーで考えた場合、売り上げシェアの半分以上を百貨店と食品スーパーが占め、コンビニは12%しかない。各社はこのゾーンを狙い、戦略を強化している。

牽引するのは、トップのセブン-イレブンだ。PBの惣菜を増やしたり、家庭でおでんを囲むテレビCMを流したりして、高齢層や主婦を呼び込むことに成功している。対するローソンは「プレミアムロールケーキ」に代表されるデザート類のヒット作を世に送り出した。ファミリーマートも、「おとなコンビニ研究所」というブランドで高齢者向けの人気商品を開発している。

各社のこうした取り組みが徐々に実を結び始めており、大手3社は来期も増収増益を期待できるだろう。

厳しいのはそのほかの企業だ。業界4位のサークルKサンクスは、親会社の中堅スーパー・ユニーによるTOBを発表した。しかし、3強との間には依然大きな差があり、年々広がりつつある。ここ2、3年のうちに業界内で再編淘汰が進む可能性が高いだろう。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=菊地正憲)