フリーアナウンサー/エッセイスト 住吉美紀さん

1973年4月5日生まれ。国際基督教大学(ICU)卒業。1996年アナウンサーとしてNHK入局。2007年「第58回NHK紅白歌合戦」では総合司会を務め、「プロフェッショナル 仕事の流儀」や海外中継番組などを担当。11年4月よりフリーに。現在は、TOKYO FM「Blue Ocean」パーソナリティ(月~金)9:00~など幅広く活躍している。著書に『自分へのごほうび』。ヨガの指導者資格を持つ。


 

フリーランスでメディアの仕事をしていると、どうしても外食が多くなります。テレビの撮影があるときなど昼はおにぎり、夜はロケ弁の生活が続きます。また、うちあわせや情報交換を兼ねた食事、友人知人とのお付き合いの食事もあるので、週のうち3日から4日は外食になってしまう。外食もいいのですが、自分の手でもおいしいものを作れるようになりたいと思っていたこともあって、和食の料理教室に通い始めました。月に2回、4時間ほどの授業に通っています。それまでも野菜炒め、玉子焼き、パスタといった料理はできたのですけれど、指導を受けてから、作るメニューが変わりました。鮮魚をおろすこともできるようになりましたし、鰹節と昆布でだしを引いて、そうめん、親子丼などを料理するようになりました。自宅で丁寧に作った料理を楽しむようになったんです。

「うちの子どもがあなたがアジを捌くのを見てみたいって」

そんなリクエストをもらい、最近は包丁とアジを持って、友人の家へ出張料理人として出かけていくこともあります。

いつも思うのですが、丁寧に取っただしのおいしさは格別です。食べたときの満足感が違う。料理を学んで食材を知ると、料理に感謝して、しかも、よりおいしく食べられることを実感しています。

お店のカウンター席に座ると、目の前で料理をしているでしょう。これまでは気にならなかったけれど、教室に通いだしてからは料理人の仕事に見とれてしまうことがあるんです。

「銀九郎」のご主人の仕事もそうです。見事なんです。カウンターでご主人がお造りを引いているところを見ていると、ああ、単に魚を切っているのとは違うんだなあと感心してしまいます。ご主人はスペイン語で冗談を言うこともある気さくな人で、居心地のいい、おいしい店です。

銀九郎、「カフェーパウリスタ」はどちらも銀座です。銀座のお店というと、敷居が高いと思っていましたが、担当している番組「Blue Ocean」のために毎週取材に来るようになってから親しみを感じています。すっかり銀座の魅力にとらわれています。食事をしたり、お茶を飲んだり、買い物をしたり、店の方と話をしたり……。銀座に来ると落ち着くのは、私もやっと大人の人生の楽しみがわかるくらい成長したのかな、と嬉しくなります。