2015年の世界経済はどうなるか。リーマンショックはようやく過去になりつつあるが、実は、それ以降も世界経済を混乱させるショックは次々と起きている。10年のギリシャに端を発する欧州債務危機はその典型例。こうした混乱は、今後もなくなることはない。

では、現在のところ経済混乱の火種はどこにあるか。世界経済には米国経済、ユーロ経済、中国経済、そして日本経済の4つのエンジンがある。そして、各国・地域の中期的な成長率見通しは、次のようになる。

米国=2~2.5%
中国=6.8~7.4%
ユーロ圏=0~1%
日本=1~1.5%

次に世界経済が混乱に陥るとしたら、その火ぶたを切るのは中国だと多くの人は考えているようだ。確かに14年7~9月期のGDP成長率は7.3%まで鈍化しているし、この先、住宅バブルなどの問題が浮上するリスクもある。とはいえ、経済成長率の高さは断トツで、しかも、3.8兆ドルもの外貨準備を抱えている。それだけの国が簡単に破綻することはないし、現状抱えている経済問題も、十分にマネージ可能だと思う。

問題があるとすれば、私はユーロ圏だと考える。欧州債務問題は、この1年で安定してきており、ユーロ体制が崩壊する危機は、とりあえず避けられた。ドラギECB総裁も、できることは何でもすると宣言している。しかし、財政規律を巡るフランスとドイツの対立は、相変わらず未解決のままで、成長率も低く、デフレに陥る恐れがある。しばらく注視しておく必要がある。

どこかで問題が起きれば日本も当然影響を受けるが、日本自体にも財政問題で注視している。IMFのデータによるGDP比274%という財政赤字は先進国中最も高く、決して持続可能ではない。それでも今は経済的に豊かだが、解決すべき問題だ。

(米バンガード社 プリンシパル、シニアアナリスト ジョナサン・レムコPh.D. 構成=鈴木雅光)
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