仕事や人生に対する考え方や環境によって、正社員はなく、自由な働き方を求める人たちはいるが、日本では労働市場が限定的で、能力を発揮できない。ランサーズはウエブ上で仕事の受発注ができる仕組みを作り上げ、「フリーランサー」という新しい働き方を後押しする。

日本最大級のクラウドソーシングサイト

日本社会は、残念ながら労働市場に流動性も柔軟性もなく、人間を歯車のように使いたがる。フルタイムやパートタイムに限らず、人は能力によっていろいろな働き方ができるし、それを望む人たちも多い。

秋好陽介・ランサーズ社長。

2008年に設立されたランサーズ社長の秋好陽介(33歳)は、そんな因習に挑む。

「アメリカは企業が個人に仕事を発注することは当たり前ですが、日本の企業は危険だと決めつけて個人との取引はしません。そんなおかしな慣習を変えたかったのです」

アメリカには「インデペンデント・コントラクター」と呼ばれる個人事業主がおり、企業と契約して仕事をしている。雇用という契約制度から離れて、フリーランスとして仕事ごとに能力を発揮するプロワーカーだ。

だが、日本でフリーランサーが存在できる余地は限られているし、社会的な地位は与えられていない。

ランサーズはこの状況を変革しつつある。

同社は、日本初で、最大級のクラウドソーシングサイト「ランサーズ」を運営している。個人や法人を問わず自由に仕事が受発注できる場である。特定の集団や人たちに仕事をアウトソーシングする仕組みは過去にもあるが、ランサーズは不特定多数を相手にする。

現在のところ、ランサーズに登録するフリーランスワーカー(同社では“ランサー”と呼ぶ)は39万人を超え、ランサーたちに仕事を発注するクライアント数は9万8000社を突破、依頼件数は43万件を超えている。仕事が成立して支払いが行われた依頼総額は344億6000万円以上だ。

仕事の内容で最も多いのがウエブ制作やプログラミングなどのIT系。最近では記事執筆や翻訳も増えており、イラスト、ロゴ制作、そして映像関係も多い。こうしたスキルが必要な仕事だけでなく、特別な技術や経験がなくても始められるライティングや、データ入力、アンケートなどの単純作業も多数ある。