ITがビジネスに不可欠の時代になっているにもかかわらず、ITエンジニアは大量に不足し、エンジニアと職場のミスマッチングも多い。ギノを創業した片山良平は「エンジニアの能力が正しく評価されていないし、学習する場も少ない」と新たな事業に乗り出した。

プログラミングスキルを評価する

ITが事務や作業の効率化だけに使われている時代はすでに終わった。今や、ネットをベースにしたITシステムは、企業活動やビジネスの根幹にまで関わっている。しかも、事業環境は高速で変化し、それに追いつくためにITシステムは昔のように何年もかけて悠長に作っている時代ではなくなっている。

片山良平・ギノ社長。

それにもかかわらず、大手SIer(システムインテグレーター)は、そのスピードに追いついていない。

「大半のSIerでは営業が主導で、エンジニアの地位は低い。仕事のスピードも遅く、大手SIerは、私たちが2日で作るプログラムを平気で1カ月半もかけるのです。そのため、ITシステムの必要性がわかっている企業はシステム開発を受託会社に任せずに内製化する傾向にあります。そのため、本当に力のあるプログラマーが求められているのです」

と、ギノを設立した社長の片山良平(39歳)は語る。ギノは、2012年に設立されたばかりの若い会社で、13年10月から「パイザ(paiza)」というエンジニアのプログラミングスキルを評価して企業に紹介するサービスを開始した。登録者は無料で自分のスキルをチェックでき、企業の求めるランクの力があれば、書類選考なしで面接を受けられる。

ITエンジニアのスキル評価には、基本情報技術者試験などの国家資格もあるが、「技術の進展速度に追いつかず、評価内容に現場感覚も不足しているので採用する企業はあまり信用していない」と片山は言う。

それでは、パイザはどのような仕組みで評価するのだろうか。

ひとことで言えば、その人のプログラミングスキルを実際に作成したプログラムで評価する仕組みだ。ギノのサイト上で登録すると、そのまま、オンラインでプログラミングのテストを受け、即座に採点される。テストは言語やスキルごとに用意されており、1問当たり20~60分で回答する。

テストはクリスマスイルミネーションの発光デザインなど具体的な業務に近い内容やゲームなどになっている。すなわち知識を問うのではなく、課題を解決し、プログラムを作成する技術を問うのである。

対応言語は9言語、スキルランクは最高位のSから、A~Eまで6段階になっている。

現在、登録者は1万7000人、SとAクラスが全体の10%程度で、BからEまでピラミッド型の構成になっている。