ライブハウスで大人気「J&GO(杉作J太郎&吉田豪)」のお2人が面白深イイトークのコツを探ります。

(左)杉作J太郎さん(右)吉田 豪さん

【J(杉作J太郎)】思ったことを口にしたほうがいいとさっき言ったけれど、咄嗟に出た言葉が安直なら、その人間が薄っぺらということですよ。でも格言や誰かが言った名言では、人の心を揺さぶることはできないですよね。それからすると長州の「マット界に非常ベルが鳴っているのに、誰も気が付かない」なんていうのは、独創的だし、詩的でいい言葉だなあ。

【GO(吉田豪)】猪木の言葉はすごく熱いけれど、どこかユーモラスでもあるのは、スケールがデカいからですよ。それはある意味、あんまり深く考えていない表れでもあるけれど。たとえば、脱税問題で追及されて裁判になって、猪木が言ったのが、「面倒くさいんです」 (笑)。基本、どこかのん気。

【J】つい声に出ちゃう人なんでしょうね。でも、のん気な雰囲気は大事だね。笑いを生みやすい。同じ言葉でも、キャラってありますから。菅原文太さんが、僕にいいこと言ってくれたんですよ。「君はヘラヘラしすぎだね」って。

【GO】それって単に怒られただけじゃないですか (笑)。

【J】あわてて真剣な顔で「すいませんでした」と謝ったんですよ。そうしたらさ「手遅れだよ」って (笑)。で、さようなら。

【GO】真顔でギャグめいたことを言う。

【J】そう、笑わせる含みがあるんです。だから、その「手遅れだよ」というのは、僕を追い詰めているわけではないんでね。そこは大物の風格なのかもしれません。相手を追い詰めないというか。

【GO】確かにキャラクターですよね。高倉健さんに同じセリフを言われたら、もっとへこむでしょう。

【J】たぶん、そうだね。北大路欣也さんにインタビューしたとき、いきなり「人間は毎日死ぬんだよ」と言うんです。聞けば「夜寝るときに1回死ぬと思ったほうがいい。次の日目覚めたときに生まれ変わったと思ってやり直すようにすれば、大抵のことは乗り越えていける」といういい話なんだけれど、いきなりあの声と顔で言われると、殺されるかと思った。