【GO】笑っていいハゲ頭、いけないハゲ頭がありますからね。
【J】でも、ハゲてる人は自分からそれを売りにしたら、笑いはとりやすいですよね。腹が出ている、目が細い……結局、自分のコンプレックス、つまり個性は宝なんですよ。
【GO】Jさんの貧乏話、然りです。
【J】僕はほんとにお金がないからね。この間、トークショーで「本を買ってください。本を買ってくれた人の中から1名には10円。そして、さらに3名の方に1円差し上げます」と言って販売しました。結構売れたんですが、結局あげたのは12円。
【GO】おや、1円ケチりましたね(笑)。
【J】1円玉って何の役に立つのだろうとみんな思っているかもしれないけれど、笑いはとれますよ。
【GO】貧乏な場合はね。
【J】そっか、「プレジデント」読者はお金持っているから、貧乏ネタは使えないか。ケチで変な親父になっちゃうよね。読者の役に立つことを言いたいなあ。真面目な話、ウケる技術としていえるのは、元気に見せろですね。できれば丹田に力を入れて姿勢よく大きな声で話す。
【GO】確かに弱っている人が何を言っても、逆に「大丈夫か、この人」と心配されてしまいますから。
【J】聞いているほうも笑えませんよね。だからコンディションづくりは大切。野菜をいっぱい食べるといいんじゃないでしょうか。あと大切なのは、スベッたりシラケたりしても、めげずに笑ってしゃべり続けることです。「杉作さんは名言をよく言うね」とか言われますが、それは考えずにしゃべり続けているからですよ。
【GO】明らかにゾーンに入っている瞬間ありますからね。
【J】うまくいけば下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるですし、当たらなくても、あの人の話はスベッてばかりだけれど、元気で楽しいという評価になる。
【GO】技術論になってきましたね。
【J】ウケなかったら、真面目な話に持っていくのもいいでしょう。「笑っている場合じゃないんだ。人生はそんなに面白いことばかりじゃない。そもそもこの世の中は、面白いようにはできていない」。
【GO】身も蓋もない話に持っていくわけですか(笑)。
【J】実際、真面目な話だって敬遠されないですよ、ちゃんとすれば。それにビジネスリーダーがバカ話ばかりしていて、いいわけがない。
【GO】なるほど、笑いで肝心なのは緩急、メリハリということですね。
1961年生まれ。現在は現代アートでカジュアル書道という新分野を開拓。著書に『恋と股間』『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』ほか。
吉田 豪(よしだ・ごう)
1970年生まれ。綿密な事前調査に定評のある「プロ」インタビュアー。タレント本収集家としても有名。著書に『吉田豪の喋る!!道場破り』『元アイドル!!』ほか。