世界一の店舗数を持つチェーンの秘密
拡大へのもう一つの原動力は、業界で本当に大切なポイントを見抜くことです。何が本当に重要なのか、何を強みに勝負をかけるべきなのか。その重要なことを見抜けたら、他社に比較して拡大はぐっと容易になるのです。孫子は距離のネガティブな要素を打ち消す重要性を指摘しています。
「戦うべき場所、戦うべき日時を予測できるならば、たとえ千里も先に遠征したとしても、戦いの主導権を握ることができる。逆に戦うべき場所、戦うべき日時を予測できなければ、左翼の軍は右翼の軍を、右翼の軍は左翼の軍を救援することができず、前衛と後衛でさえも協力しあうことができない。まして、数里も数十里も離れて戦う友軍を救援できないのは、当然である」
サブマリン・サンドイッチで有名なファーストフード・チェーンのサブウェイ。2013年時点で、マクドナルドを抜いて世界一の規模を持つチェーン店です。店舗数は全世界で約3万8千店舗。この成功の秘訣は一体なんだったのでしょうか。
たびたび指摘されているのは、調理マネジメントの巧みさです。お客側は、野菜の種類やパンの焼き方まで指定できるのに、調理方法はいたってシンプル。調理スペースも極小。新人のアルバイトでも、あまり時間をかけずサンドイッチを完成できるのです。この調理オペレーションのシンプルさが、店舗拡大の原動力になっているのです(速さはファースト・フードでは最も大切な要素の一つでしょう)。
・その業界、ビジネスで何が本当に大切なのか見抜くこと
あらゆるビジネスで、成功を続けるために必要な要素があります。同じように、拡大を続けるためには、重要なポイントがあるはずなのです。そのポイントを見抜いているか、どうすれば見抜くことができるのか。がむしゃらに努力するのではなく、戦うべき場所を正確に予測するのです。サブウェイは調理オペレーションのシンプルさを拡大の原動力にしました。あなたの会社は、どんな強みを追求すれば、世界一の規模になれるのか。この一点に関する洞察の深さこそが、ビジネス拡大の勝敗を分けることになるのです。