「孫の二乗の法則」を創った孫正義
孫正義氏は、1981年にソフトバンク株式会社を創業。同社は現在、国内の時価総額でトヨタ自動車に次いで2位、携帯通信事業者として世界3位の売上高を誇ります。グループの全従業員数は約7万人。創業からわずか35年間でこの成功を生み出した孫氏は、東洋のビル・ゲイツともウォーレン・バフェットとも言われています。
孫氏は有名な「孫の二乗の法則」として。25文字の事業戦略を20代半ばで創り上げています。詳細は書籍『孫の二乗の法則』などを見て頂きたいですが、内容の半分程度が孫子から、残りの半分を孫正義氏が創り出して現代ビジネスに当てはまるようになっています。
理念=道点地将法(どうてんちしょうほう)
ビジョン=頂情略七闘(ちょうじょうりやくしちとう)
戦略=一流攻守群(いちりゅうごうしゅぐん)
将の心得=智信仁勇厳(ちしんじんゆうげん)
戦術=風林火山海(ふうりんかざんかい)
「いままで僕は数千冊の本を読んで、あらゆる体験、試練を受けて、この二十五文字で、これを達成すれば、到達すれば、僕はリーダーシップを発揮できる。後継者になれる、本当の統治者になれるというふうに心底思っている」(書籍『孫の二乗の法則』より孫正義氏の言葉を抜粋)
上記は、孫氏の後継者を育成する「ソフトバンクアカデミア」の開校式の講義での言葉ですが、日本の枠を飛び越えて世界的な企業をわずが35年間で創り上げた人物が、20代半ばから孫子の兵法をビジネスに深く応用していたことがわかります。多くの試練を潜り抜けながらも、ソフトバンク(株)が急成長した姿は、戦国時代を駆け抜け覇者になった国家を連想させます。孫正義氏の活躍を見て、2,500年前の『孫子』が古いとは、誰もいうことができないと思われるのです。