時間の使い方を考えることが、孫子の時間術ではない
時間術といえば、24時間の中でどのように効果的に時間を使うか、ということが大抵テーマになっています。典型的な例では通勤電車で読書をしたり語学の勉強をしたり、といったところでしょうか。時間効率を少しでも向上する知恵を教えてくれる書籍は、書店に行けばたくさんありますし、実際にメリットのあるノウハウも多い物です。
実は孫子にも時間術が描かれています。しかしそれは、私たちが考える時間の有効活用ではありません。時間を活用するのではなく、自らの外にある機会を捉えるための時間の使い方なのです。
「勝機を見出したときは、すかさず攻勢に転じなければならない」
「攻めにまわったときはすかさず攻めたてて、敵に守りの余裕を与えない」(引用『孫子・呉子』守屋洋・守屋淳 プレジデント社より)
孫子が時間において意識しているのは「機会をモノにするための時間の使い方」です。
機会に焦点を当て、時間そのものに焦点を当てているわけではありません。時間の有効活用とは、仕事のある人が夜にコンビニでアルバイトのかけもちをするようなものです。一方の機会の有効活用とは、これから売れる商品やサービスを探し、自分の部署の仕事にとり入れたり、待遇をアップできる勢いのある環境に転職を成功させることです。
孫子は自らの外にある、戦場にある勝機を徹底活用するために時間を管理すべきだと言いました。それは、細切れの時間を少しでも活用しようとするのではなく、自らの外にあるチャンスに常に目を見開いておけ!という兵法独自の強烈なメッセージなのです。