さまざまな事情で「家を売りたい」と考えている方は少なくありません。

老齢になれば「年老いた身で広い家に暮らすのは大変。家を処分して子どもと同居しよう」とか「老人ホームに入ったほうが楽だ」といった考えも浮かびます。あるいはもっと前向きに「終の棲家は自分好みの環境で」と新たな家への住み替えを考えている方もいるはずです。

そうした新生活の資金となる家は、できるだけよい条件でスムーズに売りたいものですが、なかなかそうはいきません。

通常、家を売るときは不動産会社に仲介してもらう形をとります。その会社に買い主を探してもらい、売れたら仲介手数料を支払うという媒介契約を交わします。

契約をする前にしておきたいのが、自分の家がいくらぐらいで売れるのか相場を調べることです。

方法としては近所で最近売りに出された家があるかどうかを調べ、その価格を記録しておくこと。

もちろん築年数や広さ、使用状況などによって価格は大きく異なりますが、ひとつの目安にはなります。マンションなら同じ棟で売りに出ていれば、かなり精度の高い相場がわかります。

相場を知り、そのエリアに強そうな仲介業者の顔ぶれがわかったら、仲介業者に査定を依頼する契約交渉を始めます。査定依頼は複数の会社と行うべきです。会社によって仲介するうえでの姿勢や査定額が異なるからです。

たとえばA社は4000万円、B社は3800万円、C社は3500万円の査定額が出たとします。売る側としては査定額が一番高いA社と契約したくなるところですが、これはあくまで査定額。買い主が見つかり売買契約が成立してはじめて売買価格が決まるのです。

ちなみに仲介業者が介在するのは仲介手数料が入るからです。宅地建物取引業法で定められた手数料の上限は物件価格の3%プラス6万円(これに消費税が上乗せされる)。売買を成立させることによって、これを売り主や買い主の双方から得ることになります。