ズルズルと価格を下げるのが最悪
こうした仕組みですから査定額が4000万円で売れなければ、結局は値下げをして売ることになります。A社から「4000万では売れないので、3800万で売ってはどうでしょう」といった連絡が入るようになり、それがどんどん下がっていく。その物件に目をつけた買い主も価格が下がり続けるのを見て買い控えることもあります。これが売り主にとって一番悪いパターン。時間がどんどん過ぎていきますし、気分的にも落ち込みます。それで3200万円まで下げて売れたとしましょう。C社だったら3500万円でもっと早く売れたかもしれないのです。
ですから契約交渉では査定額の高低ではなく、どうしてその査定額になったのか明確な根拠が示せることや、その会社の販売実績なども考慮に入れたうえで信頼できる仲介業者を選ぶべきなのです。
ところで「家を売りたい」と考えているときに、その情報を聞きつけた知人や近所の人が「買いたい」と言ってくるケースもありえます。この場合は仲介業者を通さず、個人同士で売買することが可能(専属専任契約の場合は不可)です。仲介業者の手数料が省ける分、金額的には売り主も買い主も有利です。
ただし、素人同士の交渉にはトラブルがつきもの。この場合もプロの仲介業者を介在させたほうが無難でしょう。このケースではちょっとした裏技が使えます。前述したように仲介業者は売り主と買い主の両方から手数料を取るわけです。が、買い主が決まっているのだから営業努力はゼロなので、買い主側からの手数料分を減額してもらう交渉をする余地があるのです。
住宅ジャーナリスト 山本久美子
「週刊住宅情報」元副編集長。豊富な取材経験を生かした執筆、講演に定評がある。著書に『買い上手こそ!中古マンション』。
「週刊住宅情報」元副編集長。豊富な取材経験を生かした執筆、講演に定評がある。著書に『買い上手こそ!中古マンション』。
(構成=相沢光一)