郊外にマイホームを買った親が高齢になると、看病や介護の必要から都心に移り住むことを考えるかもしれない。そんな場合、もとの家をどうやって処分すればよいのだろうか。

売ることを決めたら、とにかく「早く売る」ことだ。不動産市況は下落が続いており、今後も基本的には下がる方向だろう。強気な価格を設定して、時間を引き延ばすほど損をする。株式などと違い、家は買い手がついて初めて売れるものだ。家族にとっては愛着ある家でも、買い手がいないと売りようがない。

価格交渉や複雑な契約業務などを考えると自力で売ることはほぼ不可能だ。そこで、良心的な仲介会社を選ぶことがカギになる。まずは家の近くにある不動産業者を当たってほしい。買い手は立地を最重視するため、地場のネットワークや情報網は欠かせない。意外にも不動産は近所の人に売れるものなのだ。

また、大手業者が中小よりもよいとは限らない。「レインズ」(Real Estate Information Network System)という不動産業者だけが使える国土交通大臣指定の情報交換システムがある。依頼を受けた業者が物件情報を登録し、複数業者が閲覧できるようになっている。売り手にとってはこのほうが売れる確率は高まるが、一部の大手業者は売り手と買い手双方に発生する手数料を目当てにして、情報を出さないところもある。特に西東京、中央線沿線で顕著な傾向であると聞いている。

売り主にとって類似物件の販売実績の有無も重要になってくる。会社(営業マン)によって得意不得意があり、マンションが得意な業者に一戸建ての売却情報を持っていっても、ノウハウも情報もないことがほとんどだ。

「昨年の売買実績を見たい」といった形で聞いてみるとよい。