「ここ2~3年、『人民元に投資したいけどどうしたらいい?』という相談を頻繁に受けるようになりました」と語るのは人民元に詳しい、東京の某大手証券会社勤務の中国人営業マンAさんだ。
2005年7月21日、中国人民銀行は、人民元の対米ドルレートを2%切り上げると発表、実質的な固定相場から、管理変動相場制に移行。その後、元はドルに対し約2割上昇した。
元切り上げの国際的圧力は強まっている。中国政府直属のシンクタンク・中国社会科学院のエコノミストが1月6日、「対ドルで元を10%切り上げるべきだ」との論文を発表するなど、中国国内でも切り上げ論は根強い模様だ。
かつて1ドル=360円に固定されていた日本円が、1985年のプラザ合意により切り上げられ、現在は約4倍の90円台で推移していることを考えると、元も同じような道を辿るのではという期待が湧く。
が、元に投資するのはまだ容易ではない。国内での購入は可能だが、1月12日の購入レートは1元=15.32円、売却は11.72円(外貨両替専門店ワールドカレンシーショップHP)。対して現地では、購入で1元=13.94円、売却は13.4円(中国銀行HP)。国内外のレートはかなり違うのだ。
「現在、日本で元建ての口座をつくることは不可能です。中国本土の銀行に日本円を持っていけば普通預金でも定期預金でもつくることができる。パスポートがあればOKです」とAさんは語る。