日本航空の経営破綻が報じられるなか、企業年金の減額が話題を呼んでいる。OBは3割減、現役は5割減と聞けば、サラリーマンの間に衝撃が走るのも無理はない。
「ウチの会社は大丈夫か?」
不況のなかで経営不振にあえぐ企業が多いだけに、不安を感じる人も少なくないだろう。
そもそもサラリーマンの年金は、大きく分けて3種類ある。1つめは「国民年金」。これは自営業、主婦、学生を含めて満20歳以上の国民全員が加入を義務付けられている基礎年金だ。2つめが「厚生年金」で、こちらは国民年金の上乗せ部分としてサラリーマンが加入する年金である。国民年金と厚生年金の2つがいわゆる「公的年金」で、サラリーマンは原則としてこの2つの年金に加入している。
3つめが問題の「企業年金」だ。企業が社員のために任意で設ける制度で、ない企業も多い。また、しくみは企業ごとに異なり、支給額も千差万別だ。
今回の日本航空の場合、減額されるのは、この企業年金の部分だけだ。公的年金が減額されることはなく、受け取る年金額が半分になるわけではないので、ひとまず安心していただきたい。
いかに経営不振でも企業年金を減額するのは簡単ではない。約束した年金額を支払う「確定給付型」の企業年金制度には、おもに「厚生年金基金」「税制適格年金」「確定給付企業年金」の3つがある。いずれも認可制で規定や基準は法的規制を受け、運営は厳しく管理される。
日本航空の加入していた確定給付企業年金の場合、年金減額にはまず逼迫した経営危機という大前提のうえで、現役・OBそれぞれ3分の2以上の社員の同意が求められ、そのうえで厚生労働省の認可が必要だ。