営業利益額は大きいが営業利益率は6.3%
2009年、「良い物を早く、安く、低炭素でお届けする」という経営方針を掲げて伊東孝紳氏がホンダの7代目社長に就任してからはや5年。13年度の決算は、まさにその成果が顕著に表れたものとなった。
売上高は前年同期比で19.9%増の11兆8400円、営業利益は37.7%増の7500億円。その数字だけを見れば、大幅な増収増益である。14年度も売上高12兆7500億円(13年度比7.7%増)、営業利益7600億円(同1.3%増)の達成を目指すという。
「今期は国内販売103万台という数字にチャレンジしたい。世界販売は483万台を見込んでいる」
2013年度のホンダの決算発表の席上、岩村哲夫副社長は何度も“チャレンジング”という言葉を使い、威勢の良さを見せたが、その姿勢とは裏腹に、決算の内容はかなり悪い。
営業利益の額は大きいが、営業利益率はわずか6.3%。14年度も改善せず、6%に低落する見通し。円高是正のブーストがかかっていることも手伝って、営業利益率13.6%をマークした富士重工業を筆頭に、日本の自動車メーカーの収益性は著しく改善している。その中にあって、ホンダの収益性はかなり悪いほうだ。軽自動車主体のダイハツやスズキも下回り、ホンダより低いのは経営再建のめどをようやくつけたばかりの三菱自動車(5.9%)と、ゴーン改革の迷走で収益性を上げられていない日産自動車(4.8%)だけだ。
この6.3%という数字自体も問題だが、ホンダにとって深刻なのは、その営業利益率の低さの最大原因となっているのが、売上の4分の3以上を占める基幹事業の四輪車部門であるということだ。事業セグメント別でみると、四輪車部門の売上高は9兆1900億円であるのに対して営業利益は4300億円。利益率はわずかに4.4%にすぎないのだ。販売金融部門の利益を勘案しても、日産を上回ることができるかどうかは微妙なところ。四輪車の収益性という観点では、すでに国内メーカーの中で最下位同然である。
利益率が低いと、いいときには巨額の利益が出ていようと、ひとたび為替や市場の状況が悪くなれば一瞬で吹っ飛ぶ。ホンダは今、業績好調どころか、緊急事態に直面していると言っても過言ではないのだ。