「ホンダはバイクもつくっているんですか?」

4月には約10種類の新型車が発売された。

ホンダは4月16日、茨城県ひたちなか市の自動車安全運転センターで二輪車の試乗会も兼ねた技術フォーラムを開いた。会場には今年発売される新型車がズラリと並び、その数は50台超。しかも、それぞれのバイクのそばには開発担当者が立ち、熱心に説明を行う。

「今年のホンダ二輪は相当力が入っています。新型車も20数車種出す予定で、4月だけでも約10種類の新型車を投入します。それに、このような大がかりなイベントを開くのは、ホンダの二輪としては初めてのことです」と話す。裏を返せば、それだけ危機感を持っていたわけだ。

ホンダの二輪といえば、販売台数世界一で、その数は1700万台超。そのうえ、高収益を誇り、ホンダの屋台骨を支える。リーマンショック後、自動車メーカーの多くが赤字を計上したなか、ホンダは黒字を確保したが、それは二輪のおかげだった。

ところが、その存在感となると、いまひとつ。BMWやハーレーダビッドソンなどに比べてブランド力は低く、ライダーからは「ホンダのバイクにはアイデンティティが感じられない」「ホンダのバイクは一目でわからない」などと散々。おまけに昨年の新入社員からは「ホンダはバイクもつくっているんですか?」と言われる始末で、さすがにこれには二輪関係者もショックを受けた。

こうした事態を招いたのは言うまでもなく二輪関係者の怠慢で、世界一にあぐらをかき、PR活動を積極的に行ってこなかったからにほかならない。「ホンダの二輪車を理解してもらい、存在感を上げるにはどうしたらいいか」――。そこでまず行ったのが、マスコミを対象にした今回の技術フォーラムだったわけだ。