36億ドルの計画が、法廷で争われた
計画は36億ドル、130エーカーの敷地に3階建ての施設を4棟建てるものである。2025年10月に発表されたあと、村議会はデータセンターの建設を禁止し、のちに2026年末までの一時停止措置へ切り替えた。開発業者ブリストルビル25デベロッパーは、一時停止の前に申請を出しているのだから、当時の条例にもとづく敷地計画の審査を受ける権利があると主張し、審査を命じるよう裁判所に求めた。
紙面の6日前にあたる2026年10月20日、オハイオ州最高裁は全員一致でこの申立てを退けた。この一時停止措置のもとで、この申請について村が審査を進める法的義務を負うとはいえない、という判断である。
巨額の投資計画があっても、地域の土地利用を決める制度を飛び越えることはできない。
この2つを、中国は前進し、米国は停滞している、とだけ読むのは早い。記事が示しているのは異なる地域の現場であり、中国に負担がないことも、米国全体で建設が止まったことも意味しない。
注目したいのは、国家の利益と地域の利益が、自動的には一致しないという点である。AIで国が強くなるという説明だけでは、隣に施設ができる住民の疑問には答えられない。
この隔たりを考える手掛かりになるのが、古代ギリシャの詩人ヘシオドスが記した、火の獲得とその後の人間の運命をめぐる物語である。
情報の火を燃やすための電力
私たちはAIを使うとき、画面に現れる文章や画像を見る。その背後で、どこかのサーバーが動き、電気を使い、熱を出していることは意識しにくい。
ところが、施設の近くに暮らす人には、その背後の条件こそが重要になる。送電網を増強する費用は誰が払うのか。水を使う冷却方式なら、渇水時はどうするのか。設備の音は夜間にどの程度届くのか。
国際エネルギー機関(IEA)の2026年報告書は、世界のデータセンターの電力消費が、2025年の485テラワット時から2030年には950テラワット時へ、ほぼ倍増すると見込む。これはAI向け以外も含む予測であり、需要や効率改善によって変わり得る。それでも、計算能力の拡大を電力供給と切り離して考えられないことは明らかだ。

