1989年以降、消費税は段階的に引き上げられてきた。ジャーナリストの須田慎一郎さんは「消費者の負担が増え、モノが売れにくくなるにもかかわらず、経団連は消費税増税に賛成し続けている。この不可解な動きには明確な理由がある」という――。(第2回)

※本稿は、須田慎一郎『財務省という怪物 「消費税」はいかにして聖域化したか』(Hanada新書)の一部を再編集したものです。

消費税の文字と文具
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増税に賛成する大企業の本当の狙い

消費税という税制を語るうえで、見過ごしてはならない論点があります。それは、「消費税が増税されて、いったい誰がいちばん得をしているのか」という、シンプルな問いです。

皆さんは、日本の大企業を束ねる「経団連(日本経済団体連合会)」が、消費税の導入時から現在に至るまで、政府に対して消費税の増税を求め続けてきたという事実をご存じでしょうか。

例えば近年の経団連の税制改正に関する提言では、社会保障の財源などとして、消費税の引き上げを有力な選択肢の一つと位置づけています。また経団連は、過去には将来的に消費税率を10%台後半まで引き上げる必要があるとの考えを示したこともありました。

買い控えで打撃を受けるはずだが……

経済の基本を考えれば、これは奇妙な現象ではないでしょうか。消費税が上がれば、スーパーの食料品から家電製品、自動車に至るまで、あらゆるモノの値段が上がります。値段が上がれば、消費者は買い物を控え、財布の紐を締めます。

つまり、消費税の増税とは「モノが売れにくくなること(消費の冷え込み)」と、ほぼ同じことのはずなのです。

それなのに、モノを作って売ることで利益を出している日本の大企業が、なぜ売り上げを落としかねない消費税増税に、これほど熱心に賛成し、政府に提言し続けているのでしょうか。日本を代表する企業を束ねる財界のトップが、自社の売り上げが落ちる政策を進めるというのは、一見すると不可解です。その答えは、はっきりしています。