消費税が増えれば、法人税は下がる
財界にとっての消費税増税は、自らが負担すべき「法人税」や「社会保険料」の負担を、結果的に国民の側に移していくための、都合のよい仕組みとして機能しているからです。
税率の推移を追えば、その相関関係ははっきりと見て取れます。1989年に3%の消費税が初めて導入された際、それまで40%だった法人税の基本税率は、37.5%へと引き下げられました。そして、1997年に消費税が5%に引き上げられると、その後法人税率はさらに下がる。
2014年に消費税が8%、2019年に10%へと段階的に引き上げられる、まさにその裏側で、法人税率はシーソーのように下がり続けました。そして現在では23.2%にまで下がり、ほぼ半減しています。このことは、東京新聞をはじめとする一部のメディアでも、たびたび指摘されてきました。
過去30年間の消費税収の増加分が、所得税や法人税の減税による税収減の穴埋めに、ほぼそのまま消えているという指摘もあります。これは、偶然の一致ではないでしょう。
重なる財務省と大企業の思惑
国家の金庫番である財務省と、財界の総本山である経団連との、利害が一致した結果だと筆者は見ています。
財務省は、景気に左右されず国民から安定して徴収できる消費税を確保したい。一方の経団連は、グローバル競争に勝つため、あるいは株主への配当を増やすために、自社の利益を直接圧迫する法人税や、企業が半分を負担する社会保険料を、少しでも抑えたい。
この両者の思惑が一致した結果として、「消費税の増税とセットで行われる、大企業向けの法人税減税」という構図が定着したのです。
ただし、ここで公平を期すために、付け加えておかなければならないことがあります。2026年4月1日以後に始まる事業年度から、「防衛特別法人税」という新しい税が導入されました。法人税額に4%を上乗せする付加税で、東京23区に本社を置く大企業の場合、法定実効税率は30.62%から31.52%へと、およそ0.9ポイント上昇します。
年500万円の基礎控除が設けられているため、中小企業の多くは実質的に対象外です。法人税の基本税率23.2%そのものが引き上げられたわけではありません。それでも、40年近くにわたって下がり続けてきた法人課税の流れに、初めて逆向きの動きが生じたことは事実です。
もっとも、その目的は防衛費の財源確保であって、消費税とは直接の関係はありません。

