価格は1万6000円~2万円

困りごと③ 決済の壁

日本の寿司店はいまだに現金支払いであったり、クレジットカードが使えない、モバイル決済が使えないなど決済で困る場面が多い。これもインバウンドの困りごと上位です。また高級寿司店のように「時価」という価格設定も時々あります。

一方でSUSHI BUSは事前予約制で予約もネットのみですから明確です。

予約席は最前列のプレミアムシート(2席)が1席2万円(税込み)とスタンダートシート(18席)が同1万6000円(税込み)の2種類で、食べ放題+ワンドリンク制です。事前決済ですから事業者はとりっぱぐれはないし、予約者も当日のお金のやり取りがなくノンストレス。スタッフもレジ会計の手間がありません。基本、事前に人数が把握できているので、積み込むネタの量も把握できロスがでにくいという構造です。このように収益性を確保できる設計がSUSHI BUSではできています。

価格ではないところで競争する

どうやってSUSHI BUS事業は生まれたのでしょうか。株式会社SUSHI BUSの矢野智之社長に解説してもらいました。

株式会社SUSHI BUSの矢野智之社長。
筆者撮影
株式会社SUSHI BUSの矢野智之社長。

「2年半ほど前、あるインバウンド界隈の集まりがあった際に隣にバス会社の人が座ったのです。聞くとインバウンドで観光バスは大変儲かっていると言います。ただ話を聞くと、単にバスをだして運行しているに過ぎない。何か差別化しているわけでもない。お客さんはそのバス会社を指名して乗っているわけでもない。このままのビジネスではきっと価格競争になる。あと一工夫しないと観光バス需要は厳しくなるのではないかと感じたのです」

「しっかりビジネスモデルを設計すれば、この新しい体験消費型ビジネスは収益性が高い事業になると確信した」(矢野社長)と言います。

ではこの事業設計をどのように実現したのか。「バスの2階に回転レーンを載せるだけだろう」と考えるのは早計です。

現在日本で稼働しているレストランバス(キッチン付きの2階建てバス)はSUSHI BUSをいれて5台しかありません。これだけでも希少ですが、2階建てバスの1階にキッチンを作るには相当なコストと時間がかかります。

しかしこのレストランバスを所有するのは共同事業者であるWILLER ACROSSのWILLERグループです。レストランバスのノウハウを持っていた会社と組んだからこそ、今回のようなバスのフルリノベーションをできたとも言えます。