日本を訪れる外国人観光客は年々増加し、2025年度は観光客数も消費額も過去最高を記録した。だが、経済ジャーナリストの岩崎剛幸さんは「消費の構成額を見ると、取りこぼしている支出がある」という。先日、開業した“異色の寿司屋”を例に、インバウンドビジネスの課題を岩崎さんがリポートする――。
「走る回転寿司」に見たインバウンドの課題
2階建て観光バスの2Fで回転寿司が回っている。そんな業態が存在するか。
私はその存在を聞いた時に驚きと同時に無性に乗ってみたくなりました。いてもたってもいられず、10月10日の一般運行開始前のメディア向け体験試乗会に参加してきました。そこには想像以上に楽しく、そして美味しいというこれまで体験したことがない不思議な空間が広がっていました。
ただし、このサービスが事業として成功するかどうかは、まだ誰にもわかりません。それでも取り上げるのは、その設計に、日本のインバウンドが「体験」で稼げない理由への答え方が詰まっていると考えるからです。その設計を、流通小売・サービス業のコンサルティングを35年以上続ける筆者がビジネスの側面から紐解きます。
SUSHI BUSとは何か。読んで字のごとく、「寿司×バス」という寿司と観光バスが一体化したものです。2階建てオープントップバスの2階席に、なんと「回転寿司レーン」を設置しているのです。運営会社は「世界初にして唯⼀無⼆のコンテンツ」といいます。
ただし、見方によっては、「単にレストランバスを改造して回転寿司レーンをのせただけ」とも言えます。
しかしこのサービスを体験してみて、この事業設計に私は大変興味を持ちました。この設計の何が興味深いのか。それは、訪日客がつまずきやすい「困りごと」をあらかじめ仕組みで回避しようとしている点にありました。

