自発的な自己改善を促す

これは部下も同じです。仮に部下自身のミスが原因だったとしても、たいていの部下はそのとき責任を感じているはず。それなのに、リーダーがむやみに怒ることで自責の念は消し飛び、さらに「怒られた!」という負の記憶で上書きされるのです。

私の20年間のアパレル企業の社長時代を振り返ると、のべ何千人もの自社スタッフを指導しましたが、褒めて人を変えられたことはあったとしても、怒って人を変えられたことはありませんでした。今となっては反省の極みです。

百歩譲って、怒るという指導に抑止性という意味合いはあるかもしれませんが、それでは何も考えさせないようにすることと一緒です。大切なのは、自発的な自己改善を促すこと。つまり、怒っても何も変わらないのです。

怒っても部下は変わらない。感情のコントロールを忘れるな

相手に伝わるのは「言葉」より先に「言い方」

以前、高校生の娘が「学校まで車で送って」と言うので、車内で待っていたときのことです。まったく出てこないので「早くしろー」と急かしたのです。

すると、家から出てきた娘が不機嫌そうに「そんな怒らなくていいじゃん」と一言。

「いや、怒ってないよ」と私。実際に怒っていたわけではありません。

しかし娘は「いや、怒っていた」と譲りません……。結局、怒った、怒っていないという面倒な話に発展してしまいました。

そのとき痛感したのが、言う側は言い方なんて気にせずに言いたいことを言うものの、受け取る側は言葉より言い方でキャッチするということです。要するに、相手に伝わるのは言葉より先に言い方ということ。

教室の窓際で勉強する高校生
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

これは昨今の指導でも一緒です。今は、特にパワハラじみた指導がNGな時世となっていますが、たいていパワハラとされる場合のほとんどが言い方です。

怒ったように話すだけで、どんな内容でもパワハラと受け取られるし、逆に落ち着いて話をすれば「怒られた」ではなく「注意された」となるわけです。

結論として、正しい指導とは、正しい言い方の上で成り立つものです。