たれをつけながら4度焼きで風味を活かす
この商品はどのような経緯で生まれたのか。PPIHで魚の仕入れや加工品開発などを担当する島宗勇司・7MDフレッシュフードマーチャンダイザーによると、きっかけは1年ほど前のこと。
豊洲市場の仲卸業者「堺周商店」豊洲本店担当・関口武彦部長とともに宮城県塩釜市を訪れた際、「アナゴ加工を得意とする三波食品の佐藤淳常務取締役と会い、ウナギのレトルト製品を作れないか相談を持ち掛けた」という。
そこから三波食品が製造に取り掛かり、堺周商店の助言ももらいつつ、蒲焼きの焼き時間などを何パターンも試した。最大の難点は「ウナギをレトルトにすると甘露煮のようになり、ウナギなのかなんなのか分からなくなってしまう」(島宗さん)ことだったが、これを乗り越えて完成に至る。
三波食品は「試行錯誤の期間は半年ほど。たれをつけながらムラなく4度焼きすることで、蒲焼き風味が感じられて冷蔵品に引けをとらない商品に仕上がった」と胸を張る。同時に「焼き上げた後、ウナギをパック詰めする前後の処理を工夫した」ことで長期保存が可能な商品が実現した。
PPIHコーポレートコミュニケーション本部広報室の水越美緒さんは、「いつでもどこでも、手軽に本格的なウナギを食べてもらいたい」とPR。訪日客や長期滞在者なども含め、年間を通じて売り込んでいくという。
販売開始後、売れ行きは次第に上向きに。今後も長期常温保存という最大の強みを活かし、販路を拡大していきそうな気配だ。
豊洲の仲卸からも「信頼できる存在」
ウナギのレトルト商品自体はむろん昔から存在する。だが、大手スーパーの水産部門で40年にわたって仕入れなどを担当し、現在は水産アドバイザーとして活躍する小谷一彦氏によると、「ウナギのレトルト=おいしくないという固定観念から、生産に二の足を踏む業者が多いだろう」という。そんな中でPPIHが新商品開発に挑んだ背景には、魚業界の常識にとらわれない姿勢がある。
「情熱価格」商品をはじめ、加工品開発が主たる任務だというPPIHの島宗さんは、東京、千葉、埼玉、神奈川、計21店舗への水産物供給を担っており、豊洲市場に足しげく通い、鮮魚の仕入れも行っている。
すでに豊洲の有力仲卸からも信頼される存在となっており、「山治」の山﨑康弘社長は、島宗さんとの魚取引について「既成概念にとらわれない魚の品揃えが目立つ。その点で安定した魚種を仕入れる傾向が強いスーパーとは大きな違いがある」とみる。
魚の仕入れに対する島宗さんの基本的な考えは、「仲卸の目利きを信じながら、いい魚を店頭に並べ、おいしさを味わってもらうこと」ときっぱり。その点で山﨑社長も「我々がいい魚を見つけても、買ってもらえなければ仕入れられない。ドンキさんは選んだ魚をたくさん買ってくれる、信頼できる存在」という。
同じく豊洲の仲卸である亀谷も、「魚の質と単価が折り合えば、仕入れる量が半端じゃなく多い。旬の魚をそのときの状況に応じて買ってくれる、良きビジネスパートナー」と評価する。

