信頼関係を作るには何をすればいいか。京都大学前総長の山極寿一さんは「海外の現地の人との信頼関係を作るときに、『この人は助けなくても自分で何でもやっていける』と思われると、人々が遠ざかってしまうことがある。そうではなく、少々騙されてもいいと考え、気のいい人間であることを示すことが大切だ」という――。

※本稿は、山極寿一、田島木綿子『人間が失いかけた ゴリラ・イルカの仲間を信じる力』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

村を訪れる観光客を迎える先住民
写真=iStock.com/FG Trade
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現地の人と信頼関係を作る方法

私が、どのようにして現地の人と信頼関係を作ってきたかについて、少しお話しします。

一緒に食事をしたり酒を飲んだりダンスをしたりといったことはもちろんで、それについてもいろいろと面白おかしくお話しできそうなエピソードはあるのですが、それらはひとまず置いておいて、私はあるルールを自分に課しています。それは「味方を作らない」ということです。

が、これはあくまでもフィールドワークの最初の段階でのことです。いつまでも味方を作らずに地元の人たちと距離を置いたままでは、これはこれでフィールドワークにはなりません。

最終的には、地元の人たちと肝胆相照かんたんあいてらす仲にならないとのある調査はできないばかりか、逆に地元住民の反発を買ってしまって調査が立ち行かなくなってしまうことにもなりかねません。

ですから、最終的には味方を作るのですが、最初は味方を作らないし敵も作らないという考え方からスタートして、だんだんとじっくりと時間をかけて、信頼できる仲間を作って、地元の人たちと信頼関係を深めていきます。