シャチの社会にはどんな特徴があるか。獣医・海獣哺乳類学者の田島木綿子さんは「シャチは繁殖期になると、それぞれの群れが一堂に会し、そこでパートナーを見つける。これによって遺伝的なリスクが高くなる近親相姦を避け、群れの中の余計な対立を未然に防いでいると考えられる」という――。
※本稿は、山極寿一、田島木綿子『人間が失いかけた ゴリラ・イルカの仲間を信じる力』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
「死」から「生」の記録を掘り起こす
私は日々、海岸に打ち上がるクジラやイルカを解剖し、その「死」から彼らの「生」の記録を掘り起こしています。
なぜこの子は死ななければならなかったのか。どんな家族と、どんな海を旅してきたのか。どうしてこの浜にストランディングしてきてしまったのか。
その凄まじい現場から見えてくる、シャチたちの「群れの真実」をお話しします。
群れは、血縁関係を基本として、数頭から十数頭で構成されています。シャチは、一定の海域に定住する「レジデント型(定住型)」、外洋と沿岸を定期的に回遊する「トランジェント型(回遊型)」、ずっと外洋ばかりにいる「オフショア型(外洋型)」の3つのグループに大別されます。

