会社を継がせてはいけない“ポンコツ・ライン”
ご自身が考える“ポンコツ・ライン”とは、どのようなものだろう。
「当たり前ですけど、事業より遊びを優先するなどは論外です。会社をきちんと成長させるために、一定の利益率の目標を決めて、それを維持できるということは大事ですね。さらに、ステークホルダーの中で、自分の優先順位を最下位に考えられることは必要だと思いますね。株主と取締役社長という立場を兼ねていますので、自分の優先順位は低くあらねばということです」
会社は創業家のためにあるのではない
子どもに社長になる器がなければ、熊谷さんは会社をふさわしい第三者に託すときっぱりと語る。
「会社が続くこと、つまり全社員の生活を守るということが、第一の使命ですから」
何より、自身の後を継ぐ者に承継して欲しいのは、敢然と掲げる経営理念だ。
「会社というのは、創業家のためにあるのではない。社会のため、そして社員のためにあるのであって、その目標があって初めて、会社は事業を担う存在たり得るということです」
ビニールカーテンで作業現場の環境改善を進め、悪者にされがちなプラスチックが、実は再生性の高い材料であるという認知を広めていくなど、その視線には常に「社会」がある。
そして「個人の富の最大化」を嫌ったかつての少年は今、富をきちんと分配し、社員の幸せを第一に据える経営者となった。熊谷さんの営みは、閉塞的な現代社会の一画に灯る、一つの希望の光ではないか。

