国交省による強行の代償
そもそも所要時間や運行本数(速達・各駅停車などのパターン別の内訳を含む)、料金設定などの前提条件を明示せずに議論を進め、決定を強行したこと自体が問題ではないか。指摘をくれた読者は「このような計算がまかり通るのであれば、この案件にとどまらず、公共事業評価全体の信頼性にも関わると思います」と憤る。
こうした指摘を国交省鉄道局はどう受け止めるのか。筆者の取材に対して、鉄道局参事官(新幹線建設)室は次のように回答した。
あくまで評価マニュアルに従って進めたものであり、評価マニュアルには他のルートと基準年を揃えなければならないとするような記述もない。ルートによって基準年が変われば既設区間の費用が変わるのは当然のことだ。また、資料の公表についてはあくまで与党が決めることであって、我々から公表を控えるようなお願いはしていない。
マニュアルに明記されていないからといって、果たしてこれが客観的かつ公平な評価プロセスだといえるだろうか。むろん地域事情も加味すれば、必ずしもB/C(費用対効果)ありきで決まるものではない。しかし、恣意的なデータ運用を疑われかねない不透明な進め方に対して、「これでは結論ありきの事業推進ではないか」と疑問視する声は止みそうにない。

