独自入手した資料から分かったこと
新設区間の建設投資額が報道されている5兆5000億円(物価高騰込み)でないのは、「現在価値換算」された金額としているためである。現在価値換算とは、社会的割引率という金利による貨幣価値の低下を反映させる仕組みだ。
例えば、今年の1万円は来年の1万400円、来年の1万円は今年の9615円となる。現在価値に換算すると、年を追うごとに貨幣価値が減少していくためである。B/C(費用対効果)は、建設期間+開業後50年にわたる現在価値換算された金額を基に算出されている。
「小浜」以外のルートの代表格ともいえる「米原ルート(東海道直通)」の場合、既存区間の建設投資額はいくらになっていたかというと、「一体評価」での全線建設投資額は17兆2300億円。この時点で「小浜・桂川ルート」より総延長が短いのに4兆8000億円も高い。
続いて新設区間の米原―敦賀間の建設投資額は(現在価値換算で)1兆1300億円で、既設区間の建設投資額は差引16兆1000億円だ。「小浜・桂川ルート」での試算と比べて5兆4500億円も高い。その比率は1.512倍である(あえて細かく表示している)。
数字はどのように「盛られた」のか
1.5倍に盛られている理由について、「小浜」以外の全ルートでは「ルート変更で+2年、環境影響評価で+5年かかることを考慮している」との表記がある。この手の評価では、何年時点の貨幣価値を基準にして数十年後までの費用と便益を計算するかが重要となる。国交省の計算では、これを「小浜」以外の全ルートで基準年を7年先送りにして試算していたということではないだろうか。
しかも、すでに支払済みの既設区間の建設投資額まで(物価上昇率2%×社会的割引率4%)の7乗(7年なので7乗となる)で計算されていたのではないか。なぜなら、7年分の社会的割引率4%と物価上昇率2%をかけてみると、ぴったり1.512倍になるのだ。「小浜・桂川ルート」での既設区間建設費を1.512倍すると、「米原直通ルート」での既設区間建設投資額とほぼ一致する。
※1.512=1.02×1.04の7乗(複利計算なので7年で7乗になる)

