北陸新幹線の敦賀―新大阪間延伸ルートが「小浜・桂川案」に絞り込まれた。この問題を取材する鉄道ジャーナリストの北村幸太郎さんは「費用対効果の算定条件が不透明で、違和感を覚える。国土交通省による試算は“結論ありき”ではないか」という――。
金沢市石川市を走り抜けるE7系新幹線(2017年)
写真=iStock.com/MasaoTaira
※写真はイメージです

「小浜・桂川ルート」への強烈な違和感

北陸新幹線の敦賀―新大阪延伸をめぐり7月15日、福井県小浜市と京都市のJR桂川駅周辺を通る「小浜・桂川ルート」が最有力候補に絞り込まれた。

延伸ルートは2016年に一度、小浜市と京都駅を結ぶ「小浜・京都ルート」に決まっていた。ところが2024年の試算で工期と建設費が大幅に膨れ上がり、実現性の観点からルート見直しや再検討の声が上がった。

そして、2025年夏の参院選・京都選挙区では、小浜市と滋賀県の米原をつなぐ「米原ルート」での再検討を全面に押し出した日本維新の会の新実彰平氏がトップ当選。「小浜ルート」派の自民・西田昌司氏は次点での当選となった。

これを受けて北陸新幹線の敦賀―新大阪間などの延伸ルートを議論する与党整備委員会の委員長を務める西田氏は、維新から提示された8つの延伸ルート案の再検証を決断。その結果が今年7月に最有力候補に絞り込まれた「小浜・桂川ルート」だ。

私はルートが絞り込まれる前の7月9日に〈不便なのに3兆円もコスト増の「小浜ルート」を選ぶ謎…政府がゴリ押しする北陸新幹線延伸案への強烈な違和感〉という記事を配信した。

読者から寄せられた「指摘」を検証する

これに対し、各方面から大変多くの反響を頂戴した。その中で筆者の胸をざわつかせる声があった。読者から寄せられた次の指摘だ。

ルート比較でB/C(費用対効果)を出すために設定された建設投資額のうち、一体評価の全額から新設区間を引いた既設区間の建設投資額が、「小浜・京都」「小浜・桂川」以外の全ルートで同ルートの最大1.5倍に盛られている。

新設区間の費用がルートごとに違うのは当然としても、支払いが済んでいる既設区間の建設投資額がルート案によって異なるのはおかしいのではないか。

そのために、「個別評価(整備区間の敦賀―新大阪間のみで評価)」では米原ルート優勢、「一体評価(東京―新大阪間全線で評価)」では小浜ルート優勢と逆転しているのではないか。

つまり、ルート比較の計算において、支払い済みの既設区間の費用が「小浜ルート(小浜・京都、小浜・桂川)」以外で不自然に高く設定されており、そのせいで「小浜ルート」が意図的に有利な結果(評価の逆転)になるよう操作されているのではないか、ということだ。

今回、この指摘を検証するため、国土交通省が与党整備委員会に示した計算資料を独自ルートより入手した。それによれば、「小浜・桂川ルート」では、一体評価での全線の建設投資額は12兆4400億円、新設区間の新大阪―敦賀間のみの建設投資額は1兆7900億円で、既設区間の東京―敦賀間の建設投資額は10兆6500億円となる。