高校生の頃から禅と日本文化が好きだった

鉄道の仕事は24時間365日、連続しています。夜間も働いている社員がいますし、事故や故障があれば真夜中でも連絡がきます。いつもどこかで身構えており、完全に緊張が途切れることはありません。そのような日々にほんのひと時でも、心を空っぽにする機会をつくりたい。そう思って、坐禅を始めました。

鈴木大拙の『禅と日本文化』は、高校生の頃に読んで以来の愛読書です。その頃から禅を中心とした日本文化には興味があって、岡倉天心の『茶の本』や和辻哲郎の『古寺巡礼』『日本倫理思想史』などを読んできました。10年前に執行役員になった頃だったでしょうか。ふと「坐禅をやってみたい」と思ったのです。最初は見よう見まねでしたが、坐禅は様式美でもあります。形から入り続けていたら、少しずつ禅の境地に近づけているように思います。

私は朝が早く、午前4時には起きています。顔を洗って部屋着に着替え、自室に戻って神棚に御水をお供えして手を合わせてから、坐禅に臨みます。背筋を伸ばし、半眼で視線を落とし、静かに吸った息を丹田(へその下あたり)に落としていきます。考えごとは追いかけない。ゆっくりとした呼吸を幾度か重ねていると、意識がすーっとクリアになっていくのを感じます。

(構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩)

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