格闘技のトレーニングは未来をつくる時間

8年前、父がゴルフのラウンド中に心筋梗塞で倒れ、そのまま逝ってしまいました。死亡診断をした医師には、「御父様はだいぶ不摂生をされていたようです。あなたも気をつけたほうがいいでしょう」と伝えられました。振り返ると社会人になってから、運動らしい運動もしていない。父の死をきっかけにトレーニングを始めました。

ジム通いを続けられるか不安だったので、最初はパーソナルトレーニングのコーチに自宅に来てもらいました。「HIIT」という負荷の高い運動と休憩を短時間に繰り返す高強度インターバルトレーニングで、週2回のペースで継続しています。そのコーチが総合格闘技をやっていて「西さんに向いていると思う」と勧めてくれました。

もともと格闘技には関心がありライジンやUFC、ONEの試合は見ていました。総合格闘技はストライキング(立ち技打撃)、レスリング(組み技)、グラップリング(寝技・関節技・絞め技)から成りますが、私は蹴り重視の南米系スタイルが好き。立ち技一辺倒ではタックルで倒されるので、それに備えて柔術もやることにしました。

週2回の自宅でのフィジカルトレーニングに加え、キックボクシングの練習が週2〜3回、柔術の道場へ通うのが週1〜2回。朝起きて2〜3時間を頭脳労働にあて、気分転換に10時頃から1〜2時間、いずれかのトレーニングをしています。

仕事が立て込んだり、会食で帰宅が遅くなったりすることもありますが、それを言い訳にトレーニングは休みません。どうしても時間が取れなければ、翌週の練習を多めにするなどして調整しています。

西 洸人(にし・ひろと) インターネット・アカデミー社長
西 洸人(にし・ひろと)インターネット・アカデミー社長
1986年、兵庫県生まれ。2010年、インターネット・アカデミー入社。18年、最年少で執行役員に就任。22年より現職。

ハードに体を動かしていると疲れはするのですが、不思議と仕事もはかどります。急ぎではない面倒なタスクなどは運動をサボっていると後回しにしがちですが、きちんとトレーニングができているときは、よどみなく片付けることができます。

私だけではありません。弊社の人事部門が社員の運動習慣と仕事の成果を分析したところ、運動習慣がある人のほうが圧倒的にハイパフォーマー率が高かったのです。また知人の精神科医に聞いた話ですが、クリニックに来院する20代のほとんどがIT企業勤務だそうです。当社もIT企業ですから、身につまされる話です。

ですから、私は運動を趣味や気分転換とは思っていません。以前、スケジュールを共有しているメンバーが、私の「ジムに行く」時間帯に会議を入れたことがありました。彼は「仕事なんだから(ジムはお休みしてもらって)いいだろう」と考えたようですが、私は真剣に抗議しました。

「おい、ダメだって! これは息抜きの時間じゃない、会社の将来に関わるぞ。俺はジムで未来をつくってるんだから!」

世界中に教育機会を提供し労働の好循環をつくる

当社は「世界中の人々へ教育を」という理念のもと、ITスキルを学ぶ機会を提供しています。その中で、私が人生をかけて取り組みたいのは「いやいや仕事をする人を減らす」ことです。日本人のワークエンゲージメントが低いという話を聞くと、悲しくなります。状況は以前よりも悪化しているかもしれません。

(構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩)

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