菅直人首相の8月中の退陣の可能性が強まる中、馬淵澄夫前国土交通相が民主党代表選挙に立候補を表明。代表選ににわかに注目が集まっている。

馬淵氏は野田佳彦財務相のグループに属していたが離脱。現在は特定のグループに属しておらず、立候補に必要な20人の推薦人を自力で集めるのは難しい。馬淵氏は党内最大グループを率いる小沢一郎元代表に接近し、小沢氏も「馬淵はいい男だ」と側近に漏らしているが、小沢グループの代議士はこう話す。

「小沢氏は馬淵氏を推すとは決めていない。小沢氏の裁判が10月に始まるのでグループとしては動けない。代表選では勝てそうだと思った候補に乗るだけだ」

小沢グループでは一時、鳩山グループの海江田万里経済産業相を推す声があった。しかし海江田氏は、7月末の衆院経産委員会で号泣したことで男を下げた。

「小沢氏は以前から“早く菅内閣の大臣を辞任しろ”とアドバイスしていたが、海江田氏は決断できずタイミングを逸した。以前から“花粉症で涙が出やすいんだ”と自分の涙もろさについて釈明していたが、あの涙は菅総理にいじめられた無念さゆえ。人前で悔し泣きするような男に総理は務まらない」(同前)

鳩山グループに属していた小沢鋭仁元環境相も出馬の意欲を示している。

「小沢(鋭)氏は自分の政策集団を立ち上げて鳩山氏の不興を買い、グループを離脱。馬淵氏同様、20人集められるか微妙だ」(鳩山グループの参院議員)

出馬を確実視されているのは野田グループを率いる野田財務相だ。野田氏周辺によると「本人は腹をくくっている」とのこと。知名度が高い前原誠司氏がスキャンダルで外相を辞任して間がなく、今回は立候補を見送るのではとささやかれているため「野田本命は動かない」と全国紙の民主党担当記者は話す。

「だが、野田を推していた仙谷由人官房副長官が最近は“野田は何をやっているんだ”と不快感を示しているらしい。仙谷氏は幹事長狙いとされ、それに難色を示した野田氏が距離を置いているという。その場合は野田氏に対抗して仙谷氏の立候補もありうる」(前出担当記者)