「昔、プロ野球に桑田真澄という選手がいました。彼は不動産を購入し“投げる不動産屋”と呼ばれました。一方、小沢一郎さんは“バッジをつけた不動産屋”と呼ばれてもおかしくないぐらい、政治団体として不動産を購入してきました」

小沢一郎民主党元代表が目をむくような発言の主は、ほかでもない小沢氏の元秘書・石川知裕衆院議員である。小沢、石川両氏はともに不動産がらみの政治資金規正法違反で起訴されている。

石川氏は今夏、著書『悪党 小沢一郎に仕えて』を上梓。7月28日、東京・有楽町の「外国特派員協会」で出版記念講演を行い、その後の特派員らとの質疑で出たのが先の発言だ。

この日は小沢氏もフリー記者らでつくる「自由報道協会」主催の記者会見に出席し、菅直人首相の辞任を求める一方、「菅さんが来年の代表任期までやっていたら東京も何もかも放射能汚染に見舞われる」などと言いたい放題。ポスト菅の民主党代表選挙や10月に始まる小沢氏の裁判を前に、師弟ともども軽口を叩いて鬱憤を晴らした?

小沢氏に向ける特派員らの視線は厳しく、「古いタイプの政治家なのでは」「金権政治家ではないか」といった質問が相次いだ。「小沢さんはお金持ちなのに、なぜいっぱいマンションを買って蓄財するのか」という質問も出た。石川氏は「政治には金がかかる」などと説明し、あえて蓄財について否定しなかったものの、発言の大半は小沢礼賛。

「被災した岩手県選出の小沢氏がなぜ現地入りし、長靴を履いて被災民を励まさないのか」との質問には「長靴を履いて鼓舞するより安定政権をつくることが自分の役割と思っているからだろう」と釈明。さらに「私の本が大方の予想に反して売れているのは小沢さんへの国民の期待の表れ」「小沢さんは科学技術庁の政務次官を務め原子力の怖さを知っていた」「震災と昨年の尖閣問題の際に、小沢さんが刑事被告人だったことは日本の政治にとって不幸なことだった」等々。「総理を目指すのか」との“お愛想”質問には、「まず刑事被告人として無罪を勝ち取ってから」と満更でもない様子だった。

石川氏は「小沢さんは『人事を尽くして天命に遊ぶ』と言っていた。総理をやる気があると思った」とも話したが、“小沢総理”を望む国民が果たして何人いるのだろうか。