中国を直撃した「巨大なブーメラン」
日本が新しい市場を開拓し、世界中から応援されている頃、中国国内では自国政府が流したフェイクニュースのせいで大パニックとなりました。巨大ブーメランに苦しむことになったのです。
●塩の買い占めパニック
中国の国民は「海が放射能で汚染される」という国営メディアの報道を信じ込み、「海塩が危険になる」「ヨウ素入りの塩を食べれば放射能を防げる」といったデマがSNSで拡散しました。その結果、沿岸部のスーパーから食塩が消える大パニックが発生しました。
事態を重く見た国有企業の「中国塩業集団(中塩集団)」は、「当社の年間生産量1000万トンのうち、87%は地下から採れる岩塩であり、海塩はわずか1%だ。パニック買いをやめてほしい」といった趣旨の緊急声明を出す羽目になりました。
私が2009年から2014年まで香港中文大学の日本研究学科で教授として赴任中の2011年に、東日本大震災が起きました。この時、福島第一原発事故の直後にも、全く同じ「塩の買い占め」を目の当たりにしました。パニックのパターンは当時と全く変わっておらず、中国政府は自ら火をつけたパニックの鎮火に再び追われることになったのです。
●中国の漁業と日本食レストランの崩壊
ブーメランは中国経済にさらに深刻な打撃を与えました。「太平洋が汚染された」と思い込んだ中国の消費者の中には、産地に関係なく「すべての魚介類」を食べるのをやめる人もいました。その結果、海側にある福建省や山東省などの中国の漁師たちが獲った魚も全く売れなくなり、中国の国内漁業が壊滅的なダメージを受けたのです。
さらに悲惨だったのは、中国国内にある約8万軒の「日本食レストラン」です。これらのレストランのほとんどは日本企業ではなく、現地の中国人が経営し、中国人スタッフを雇い、中国産の魚を使っていました。
しかし、「日本」という言葉に過剰反応した客がパニックで寄り付かなくなり、数万軒の中国人経営のレストランが多くの収入を絶たれました。看板の「日本」の文字を隠して「韓国料理」や「アジア料理」に変更して生き残ろうとする店も続出しました。中国政府のウソは、自国の漁師や労働者の生活を根こそぎ壊してしまったのです。

