複雑な対象についてデータを集め、統計的に傾向を見る。「ビッグデータ」の下での現代のビジネスにとっては欠かせない方法論である。

このような顧客は、次にこんな商品を買う確率が高い。あるいは、特定の家族構成の人は、こんなサービスを必要としている。そのような統計的な傾向は、ビジネスにとっての貴重なヒントとなる。

脳は、もともと、環境について統計的な推理をしている。確実にわかるわけではない場合にも、生きる上で必要な情報を拾ってくるのだ。

出張先で、どの店に入ろうかとあれこれと探しているときも、結局は統計的な推理をしている。このような店構えのレストランでは、こんなサービスを受けられるだろうと、過去の経験というデータに照らして、推測しているのだ。

人間の脳は、大量の言葉にできない情報を得て、そこから推理をしている。「第六感」とか、「虫の知らせ」と呼ばれるのは、このような脳の無意識の情報処理の結果である。

感性を研ぎ澄まし、推理するという経験を積み重ねると、常人では想像できないような感知能力を持つようになることもある。例えば、店の販売員が、客が入ってきた瞬間に、何を買うか直感的にわかってしまう、という場合である。

マジックやトリックを仕掛ける「メンタリスト」の世界では、客の微妙な動きや表情を通して、さまざまなことを読み取る。意識的に行われる場合もあるが、無意識に読み取ってしまうこともある。